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神社仏閣ラブ(弛め)

「牛嶋神社」(補)

さて。

 

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大日本名所図会刊行会 編『大日本名所図会』第2輯第6編 江戸名所図会 第4巻,大日本名所図会刊行会,大正9-11. 国立国会図書館デジタルコレクション

大日本名所図会 第2輯第6編 江戸名所図会 第4巻 江戸名所図会. 第1-4巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション

(参照 2023-10-03)

 

今回は『江戸名所図会』だけにしておきます(文献はたくさんありそうですので)。

p357です(引用にあたって旧字をあらためた箇所あり/判読不能文字は■に置き替える)。

「牛御前王子権現社

同所北の方にあり。別当最勝寺と号す。牛島の総鎮守にして、祭禮は隔年九月十三日、北本所石原新町の旅所へ神幸ありて、同十五日に帰輿す。祭神素盞嗚尊(牛御前と称す)、清和天皇第七皇子(王子権現と称す)共に二座なり。相伝ふ、清和天皇の御宇貞観二年庚辰秋九月、慈覚大師東国弘法の頃、素盞嗚尊位冠の老翁と化現し、此地に跡を垂れ、永く国家を守護せんと告げ給ふ。仍て大師一社に奉じ、上足の良本阿闍梨を留めて是を守らしむ。当社の本地仏大日如来の像は、良本師彫刻と云ふ。又五十七代陽成院の御宇、清和帝第七の皇子東国に遷されさせたまひ、天慶元年丁酉九月十五日、此地に於て薨じ給ふ。依て開山良本阿闍梨ここに葬り奉り、牛御前の相殿に合祭なし奉るといへり。其後霊告ありて云く、素盞嗚尊第二の御子にて、仮に清和帝の皇子と生を替へさせ給ふと云々。

或人云ふ、当社を牛御前と称しまゐらするは、この地いにしへ牛島の出崎にてありしゆゑ、牛島の出先といふべきを略して、牛御崎と唱へたりしならんを、後世誤りて崎を前に書きあらため、またそれを御前と転称せしにやと云へり。

 

按ずるに、摂州輪田御崎・筑前鐘御崎、其餘相州の三崎・大江戸の月岬等、すべて海に臨める地なり。今当社の辺を須崎村と名くるも、むかし海辺の出洲にして、其頃は文字も洲崎に作りたりしとおぼしく、いにしへ此あたり蒼海に濱し、やや年を歴て陸地となりし事は、次の寺島蓮華寺の條下につまびらかなり。其條下をあはせ考ふる時は、牛の御崎とする説も據あるに似たり。しかる時は、御崎の仮名の美を御とし、崎の文字を前に書あらため、再びサキの訓を音に転じて、ゼムとは呼びしならん。されど神号に御前と称するもの、又人のうへにも用ひたりし事、往々其例あり。ことごとく擧ぐるにいとまあらず。故にこれを略す。」

 

ふう……。

かつては「牛御前社」と呼ばれていた、その語源を探るという試み……こういう解釈とかは今に限らず、人間は昔から大好きなのですよね……なにしろ『日本書紀』とか『古事記』の時代ですら、それより前の言い回しやら何やらが既に語源不明になっていたりするので、1000年以上経っていてはそりゃわかるはずもない、けれども解釈したい……そして解釈がいくつも生まれ……今になって混沌としていたりするのです。

妄想の余地があるとも言えますが。

このあとには、千葉家に関するもの等奉納されている社宝が紹介されておりまして、

 

「当社は往古鎌倉右府将軍源頼朝卿崇敬厚く、養和元年辛丑宮社を経営あり。ここに於て千葉介常胤、其頃当国の主たるにより、許多の田園を寄附し奉り、尊信尤も厚かりしとなり。然るに永禄に至り、北條氏直老臣大道寺景秀に命じ、先規の例に任せ、神領寄附あり。則社前の水田是なり。」

 

……千葉家の本はちょっと読んでいたのですが、途中でほっぽり出したな……また読まなければ……。

さて、牛と「素盞嗚尊」が結びつくのは「牛頭天王」以外にはないと思いますので、「牛御前」は「牛頭天王」なのだと思われます。

そこまで古くもなく、また新しくもなく、という感じでしょうか。

牛頭天王」関係の本も何冊か読んでいるのですが、最近思い出していないんで……。

 

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bennybebad.hatenablog.com

 

↑こんな感じの記事も、昔は書いておりました。

しかし、「牛御前社」ではあっても、「天王社」ではない、というのは、やはり地名としての「牛島」が先にあったからなのかな、と思われます。

関東は「氷川神社」がありますから、出雲系というか、「素盞嗚尊」を祀る神社がないわけではない……「天王社」は「祇園」系の「牛頭天王社」……その辺りの勢力と集合しなかったのも、そういう理由ではないかと。

鎮守の神の勢力、侮るなかれ、と。

で、今となっては「牛島」がなぜ「牛島」なのか、まで探っていくのはなかなか難しいのでしょう。

 

 

 

まあ、いつも通り適当に書いておりますので、あまり信用はしないでくださいね。

 

 

というわけでお次は、「牛嶋神社」に来たからには行くしかないでしょ、のアソコに参拝いたします。