べにーのGinger Booker Club

神社仏閣ラブ(弛め)

「五百羅漢寺」

10/20。

目黒までやってきて、「目黒不動」に参拝。

実は目的地は他にあったのでした。

五百羅漢寺」。

 

◯こちら===>>>

天恩山 五百羅漢寺:トップページ

 

f:id:bennybebad:20131020121905j:plain

この日は「らかんさん」のお祭りで、出し物やら何やらいろいろ行なわれていたので、参拝できないのかなと、一度スルーしたのでした。

f:id:bennybebad:20131020133411j:plain

 

 

……写真としては、この一枚です。

五百羅漢寺」、非常に近代的な建物に生まれ変わっておりまして。

昭和56年に、鉄筋コンクリート造の堂塔が落成。

写真の階段を上って、右手に曲ると「羅漢堂」があります。

そちらに、多くの羅漢像がずらりと並べられています。

近代的な建物の中に、黒々とした羅漢像が安置されていると、何とも不思議な気分になりました。

多くの像では、恐らく貼られていたであろう金箔ははげてしまって、下地の漆塗りがむき出しなのですが、現代人にはその古色蒼然とした風合いが「侘び寂び」に通じる何かを感得させるらしく、同じくモノトーンのコンクリート造の建物と不思議な調和をしているように思えたものです。

ときどき、「出張中」の羅漢さんもいらっしゃいました。

「羅漢堂」を抜けますと「本堂(大雄殿)」があり、本尊「釈迦如来」他菩薩、羅漢像が安置されています。

立体的に置かれた羅漢像が、それほど広くない堂内に異空間を生じせしめている、という様子でした。

写真がないのでこんなところですが……。

「聖宝殿」から回廊を巡ると、様々な寺宝を拝観することができます。

さて。

ほとんど予備知識のないまま訪れた「五百羅漢寺」、目的は何だったのか、といいますと。

f:id:bennybebad:20131020212452j:plain

f:id:bennybebad:20131020212442j:plain

このお守りの図柄になっています、

 

「獏王」像

 

でございます。

足洗邸の住人たち。』で見かけて以来、是非とも実物を見ておきたい、と思いましたもので。

「羅漢堂」の出口辺りに安置されておりました。

高さ60センチくらいでしょうか、思っていたよりも大きな像で驚きました。

「獏」といえば、悪い夢を食べてしまって、いい夢を与えてくれる、中国産の霊獣のことです。

「獏王」の像は、「背中に角(翼?)があって、髭を生やした人面の獣で、前脚は蹄(奇蹄目?)、額に目のある三つ目で、左右の腹にも三つ目のある姿」です。

体は牛、尻尾は虎、のようです(一説には、様々な霊獣を作ったときの余り物で作られたのではないか、と言われているとかいないとか/体が牛、といいますと「件(くだん)」という妖怪のことが浮かびますが、こちらは未来を予言する妖怪です)。

江戸時代の『嬉遊笑覧』という書物には、「白沢は獏なり」と書かれているそうです。

「白沢」というのは、これまた中国産の霊獣で、とにかく物知りです。

さくっとWikipediaを調べていただければわかりますが、古代中国の「黄帝」が出会った「白沢」は、一万種類以上の妖異怪神のことを伝えて、「黄帝」がそれを書き取らせたそうです。

これを「白澤図」と呼びまして、実物は逸して伝わっていないようですが、「こんなものにあったらこうしなさい」という妖怪図鑑みたいなものだったようです。

知識で以て辟邪を為す「白沢」、古い図像では、獅子のような姿だったそうです。

これにひとひねり加えたらしいのが、江戸の妖怪キャラクターメーカー・鳥山石燕先生。

『今昔百鬼拾遺』に納められた「白沢」は、角と髭を持ち、額にも目があるばかりか、体の左右にも三つ目がある、何とも奇妙な姿になっています。

で、Wikipediaによりますと、「こうした『白沢』を描いたのは石燕が最初だ」とのことです。

が。

「獏王」をはじめ、羅漢像等を彫りに彫った、「五百羅漢寺」開基の松雲禅師が亡くなったのが1710年。

石燕先生の『今昔百鬼拾遺』が世に出たのは、1780年(らしいです)。

とすると、石燕先生が「白沢」を書く以前から、「獏王」は「白沢」のような姿をしていたわけで。

『嬉遊笑覧』という書物が1830年成立のようなので、「白沢は獏なり」という説がいつの頃から語られていたのかがよくわかりませんが。

少なくとも、石燕先生は「獏王」を見ていたのではないか、と思います。

何しろ1725年に「大雄殿」が落成、その須弥壇の背後に「獏王」が置かれていたといいますし、後々には江戸の名所になっていきますので。

石燕先生は、そこで見た「獏王」の姿から、「白沢」のインスピレーションを受けたのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

ま、証拠は何一つありませんけども。

 

 

ほとんど「獏王」を見るためだけに出向いた「五百羅漢寺」でしたが、実はかつて「さざい堂」があったことを知り、慌てて寺で販売されていた『甦える羅漢たち』という本を買いました。

まだしっかり読んでいませんが……いずれ読んだら感想などを。

「らかんさんまつり」のおかげか、拝観料がサービスでした。

仏縁。

 

さて、目黒、実はかなり素敵スポットのようなのです。

目黒不動」から目黒駅へ戻る途中には、

f:id:bennybebad:20131020130438j:plain

蛸薬師」があったり(京都にもありますね)。

f:id:bennybebad:20131020130519j:plain

看板、見えますかね。

「ありがたや 福をすいよせる たこ薬師」と書かれているのですが。

吸い寄せているのが、「開運」の他は、銭ばっかです。

現世利益も甚だしい。

f:id:bennybebad:20131020133841j:plain

f:id:bennybebad:20131020133850j:plain

「山の手七福神」に、「大鳥神社」……雨さえ降ってなきゃ、喜び勇んで回ったのになぁ……。

f:id:bennybebad:20131020134144j:plain

f:id:bennybebad:20131020134135j:plain

「大聖院」というお寺の敷地内には、「切支丹燈籠」があったりもします。

キリシタンについても勉強したいですねぇ……本当、俺、何で西洋史学科に行ったんだろうか……。

何とか目黒駅にたどり着いたときには、足の小指の皮がずるむけで、まぁひどいことになっておりました、とさ。

 

 

f:id:bennybebad:20131020212306j:plain

甦える羅漢たち―東京の五百羅漢 (1981年)

甦える羅漢たち―東京の五百羅漢 (1981年)

 

 

 

足洗邸の住人たち。 12巻 【初回限定版】 (ガムコミックス)