べにーのGinger Booker Club

神社仏閣ラブ(弛め)

「寒川神社」

10/19。

よんどころない事情のため上京することになったので、この機会にあちこち行ってみよう、と思いまして。

といっても、移動距離と宿を考えると、まずはここだろう。

寒川神社」。

 

◯こちら===>>>

八方除 寒川神社

 

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相模国一宮、です。

昔、厚木市に住んでいたことがありまして、「寒川神社」は全然行ける距離だったのですが。

当時はそんな意識はなく……もったいないことをしました……伊勢原の「大山阿夫利神社」も、しこたま行くチャンスはあったのになぁ……。

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あいにくの天気ですが(今にも降り出しそうです)。

真新しい石橋であることはお分かりかと。

古ぶるしく残るだけでなく、こうして更新されていくことも必要だと思います。

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参道入り口脇の神池。

能役者の像が立っています……題材がなんだったか思い出せません。

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あいにくの天気ですが、七五三詣での親子連れ(あるいは、三世代連れ)が多く参拝に訪れていました。

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「御由緒

祭神 寒川比古命 寒川比女命 寒川大明神と総称する

(中略)

当神社の創始は古く日本総国風土記によれば今より約1500年前 雄略天皇の御代朝廷より奉幣のことが記されており 当時 朝野遠近の崇敬篤く著名の大社であったことが知られる

其後桓武天皇延暦7年を始めとして歴代奉幣のことがあり 亦仁明天皇承和13年以来数次に亘り神階を奉授せられ 更に醍醐天皇の御代に制定された延喜式神名帳相模国名神大社と定められ幣帛を奉せられておりこの地方の庶民信仰の中心をなしていた

(後略)」

 

どうやら世の中には『日本総国風土記』という書物があるようなので検索してみました。

検索結果の一番上が、国会図書館のデータベースで、直接読むことができるという時代……。

それはともかく、読んでみますと、確かに↑の由緒書にあるように、雄略天皇の時代のことが書かれています。

ただ、『風土記』(古風土記、と言うらしいですが、とにかく最初に編纂されたやつ)は、「相模国風土記」は残っておらず、逸文として見られるだけです。

『日本総国風土記』も、正体がよくわかりません(後世の偽書、なんでしょうか)。

ですので、雄略天皇の時代からあったのかどうかはともかく、この地方では相当古い神社だと考えられているわけですね。

ちなみに、『日本総国風土記』では、御祭神は「菊理媛命」だと書かれていました。

ふーん……。

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見事な門です。

平成5年竣功。

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その手前に、馬のいない「神馬舎」。

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本殿。

平成9年竣功。

ええと……七間入母屋造でしょうか。

張り出した両翼が堂々とした印象です。

ここまで横に広い本殿は、古くからある神社ではあまり見られません(多分)。

さすが平成生まれ、視覚効果もしっかり計算された造りです。

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完全に意匠となっているこの連続性。

屋根を支えるための構造を、何とか意匠として工夫してきたのが昔からある神社仏閣建築です(というか、近代以前の建物です)。

詳しくはわかりませんが、計算で導きだされた構造に後から意匠をくっつけているので、何だか豪華に見えます。

あえて言うなら、作り物っぽい。

しかし、それが現代の神社建築なのですから、否定するものではないでしょう。

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境内に何故か「渾天儀」が。

と思ったらオブジェでした。

「八方除」、つまり全方位に対して厄除けの神威を発揮するのがこの「寒川神社」なのだそうです。

オールマイティーすぎやしませんかね?

平安時代は方位の神様が大流行り。

ある方角には災難を呼ぶ神様がいるので、それを避けて行動しましょうという「方忌み」を守るため、貴族のみなさんは大変だったようです。

しかも、方位の神様は移動しますから。

その神様の位置を特定したのが、「陰陽師」のみなさんです。

それに対して「寒川神社」は「八方除」です。

陰陽師」の出番無し。

ここまでくると清々しいです。

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境内側から門を撮影してみました。

大きな狛犬がいましたね。

外から、本殿を拝めないかとぐるぐる回ってみました。

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これが限界……。

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道祖神らしきものがありました。

四角い石は、仏塔かなにかの礎石でしょうか。

中に入れてもらえなかったのか。

道祖神であれば、むしろこれでいいのかも知れません。

境界にあって、外からくるものを防ぐのが道祖神の役目ですから。

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一宮と呼ばれる神社にしては珍しく、摂社末社が少ないのですが……と思っていたら、外にありました末社「宮山神社」。

こちらも新しいですね。

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「御祭神 八柱の神

(合祀神社名)

琴平車 大物主神

八剣社 須佐之男

雷社 健御雷之男神

若宮八幡社 大雀命

祢岐志社 聖神

稲荷社 宇迦之御魂命

三峰社 伊邪那岐命 伊邪那美命

 

 

……詰め込んだなぁ……。

普通こういう場合、大きい神社の中に、小さな社としてそれぞれが祀られることが多いと思いますが。

そうさせない何らかの力学が働いたのでしょうか。

しかもまぁ、大物ばっかですよ……。

「大雀命(おおささぎのみこと)」というのは、「仁徳天皇」のことです。

和風諡号が「大雀命」(『古事記』)ですので。

「若宮」が何を指すのかにはいろいろな論があるようです。

ここで「大雀命」としているのは、本来の「八幡神」が「応神天皇」とされていることから、その「若宮」=御子神ということで、「仁徳天皇」が祀られている、と説明しているようです。

「聖神」は、「須佐之男命」の御子神である「大年神」の御子神です。

古事記』にも登場する由緒ある神なのですが、今ひとつどんな神様なのかわかりません。

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八柱には狭そうですが……。

さて、「寒川神社」の御祭神は「寒川比古命」と「寒川比美命」だそうです。

公式HPによれば、元々の御祭神は諸説ありますが、大正時代に御二柱に定められたとのこと。

どうやら川の神様が本来ではないか(寒川)、とも言われています。

そうすると、一周して川の神様に戻ってきた、ということになります。

地域で信仰されるには相応しい、地域性のある神様なのかもしれません。

 

おまけ。

寒川神社」から、JR相模線の「宮山」駅へ向かう途中で発見。

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地蔵堂と庚申塚、道祖神

こういったものがしっかり残っていると、何だかほっとします。

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本殿遠望。

 

 

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結構回ってきました一宮ですが、実はまだまだです……。

本当に全国回る覚悟と、レンタカー(かタクシー)で移動するお金が必要です……。

まぁ、制覇できたら面白いなぁ、くらいのノリです。

 

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