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神社仏閣ラブ(弛め)

「日吉大社」(考)〜その7

さてはて最果て。

とりあえず、妄想はあまり浮かびませんが、「二十一社」というのを系譜的に並べ替えてみようかな、と思います。

いやいや、日吉といえば百八社あったらしい、ということを考えると、日本神話の神様はほとんど祀られているのではないか、という気もしますが……そこまで付け加えられちゃうと妄想する気も失せますので。

古事記』と『日本書紀』、あるいは他の文献などで扱いが異なる場合もありますが、概観する程度、で。

「二十一社」の御祭神は、wikipedia参照、ということにします(ので、当然異論噴出なわけですが、そこは妄想ということで)。

 

○素盞嗚尊(早尾神社)【早尾】 


五男三女神(八柱社)【下八王子】

 

いきなり難題ですね……何しろ「天照大神」との誓約(うけい)で生まれた神々のこと、のはずなので、どんな理由で二十一社に加えられたのか……というかですね、三女神のほうは「宗像三女神」なので、他にお祀りされているわけです。

やはり、「八柱社」の御祭神を「五男三女神」と考えるのはちょっといかがなものか、と思います。

 

○素盞嗚尊(早尾神社)【早尾】

大年神大物忌神社)【大行事】

 

大年神」は、「素盞嗚尊」と「神大市比売命」の間に生まれています(兄弟神に「宇迦之御魂神」がいらっしゃいます)。

 

大年神大物忌神社)【大行事】


○天知迦流水姫神(新物忌神社)【新行事】

 

大年神」と「天知迦流水姫神」は夫婦神です。
その間に生まれたのが、

 

○奥津彦神・奥津姫神(竈殿社)【大宮竈殿・二宮竈殿】

大山咋神(東本宮)【二宮(小比叡)】

 

です。

 

大山咋神(東本宮)【二宮(小比叡)】

○鴨玉依姫神(樹下神社)【十禅師】

 

大山咋神」と「鴨玉依姫神」は夫婦神です。

 

○鴨別雷神(産屋神社)【王子】

 

「鴨別雷神」は、「大山咋神」と「鴨玉依姫神」の御子神
一方で、

 

鴨建角身命氏神神社)【山末】

○玉依彦神(樹下若宮)【小禅師】
○鴨玉依姫神(樹下神社)【十禅師】

 

鴨建角身命」は「玉依彦神」「鴨玉依姫神」の父神ということになります(ここでの「玉依彦神」が、本当に「鴨建角身命」の御子神かどうか、はちょっと怪しいですが)。

この辺りは、「風土記逸文」や賀茂氏系の伝承のようなので、記紀神話とは区別するべきものかもしれません。

次は、

 

大己貴神(西本宮)【大宮(大比叡)】


田心姫神(宇佐宮)【聖真子】

 

大己貴神」と「田心姫神」には、夫婦神という伝承があり、その御子神に、

 

下照姫神(宇佐若宮)【聖女】

 

がいらっしゃいます。
また、先にもあげましたが、

 

田心姫神(宇佐宮)【聖真子】
市杵島姫命・湍津島姫命(巌滝社)【岩滝】

 

この三柱で「宗像三女神」です。
ええと、これで二十一社のうち、あげていないのは……

 

大山咋神荒魂(牛尾神社)【八王子】
○白山姫神(白山姫神社)【客人】
○鴨玉依姫神荒魂(三宮神社)【三宮】
○山末之大主神荒魂(牛御子社)【牛御子】
○瓊々杵命(剣宮社)【剣宮】
仲哀天皇(気比社)【気比】

 

以上でしょうか。
このうち、

 

○瓊々杵命(剣宮社)【剣宮】
仲哀天皇(気比社)【気比】

 

この辺りはかなり新しく勧請されたのではないか、と思います(し、元々の御祭神は別の神だったのかもしれません。「気比」と呼ばれている場合には「気比神宮」の御祭神「伊奢沙別命」が想起されますし、「剣宮」というだけであれば日本神話にいくつか登場する武神なのかもしれませんし)。

 

○白山姫神(白山姫神社)【客人】

 

こちらは、旧社名もあからさまに、他の地域から勧請した方なので、やはり新しめなのではないかと(なお、江戸時代の被差別民と「白山神社」には関係があるらしいので、そちら方面からのアプローチもありかもしれないです)。

 

大山咋神荒魂(牛尾神社)【八王子】
○鴨玉依姫神荒魂(三宮神社)【三宮】

 

ここは悩みそうになりますが、そもそも八王子山の「金大巌」と関係しているようなので、元々の地主神(夫婦神だったかどうかはともかく)で、それらが「大山咋神」などと呼ばれるようになってから、「荒魂」ということにしたのではないか、と思います。

 

○山末之大主神荒魂(牛御子社)【牛御子】

 

で、いちばん悩むのがこちらなんですけどもね……「大山咋神」は別名を「山末之大主神」、あるいは「鳴鏑神」ですから、元々は別の神格だったものが習合したと解釈すれば、「山末之大主神」の「荒魂」というのもわからないではないですが……習合したあとに、わざわざその一つをまた分けて、しかも「荒魂」だけ祀る、というのがよくわかりません。
古事記』の書き方は、

 

「……次に大山咋神。亦の名は山末之大主神。この神は近つ淡海國の日枝の山に坐し、また葛野の松尾に坐して、鳴鏑を用つ神ぞ。」(岩波文庫版『古事記』より)

 

 

です。
大年神」の御子神の中では記述が多いので、何かしら特別視する理由があったと思われます。
で、この記事を素直に読めば、「この神は近つ淡海國の日枝の山に坐し」という部分は、「大山咋神」にかかるわけですが、もしこれが直前の「山末之大主神」にかかっているとしたらどうでしょう……つまり、もともとの比叡山の地主神は「山末之大主神」で、その後に「大山咋神」がやってきた、と。
だからこそ、「牛御子社」では、「山末之大主神荒魂」をお祀りしているのです。
祟られちゃうので。

 

……ん?
ということは、「松尾大社」にいらっしゃる「鳴鏑神」(御祭神は、公式には「大山咋神」と「市杵島姫命」となっているようです)も、「大山咋神」ではなく、「山末之大主神」だったりするのでしょうか?
あるいは、松尾の神も、「大山咋神」、「山末之大主神」とは別の神だったりするのでしょうか?
うーむ……混乱してきました(これぞ妄想)。
次回、もうちょっと妄想を燃やしてみようと思います。